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WebCTに資料掲載するときには、著作権に注意しましょう

授業のときに参考図書を一部分コ ピーして学生に配ったり、Web で見 つけた図や写真をパワーポイントの スライドに貼付けて使用することが あると思います。

大学の授業において、必要な範囲で第三者の著作物の一部をコピーして 使用することは、一定の条件を満たせば、著作者の許可なく行えます。こ のことは著作権法第 35 条の「教育機関における複製等」の例外規定によ り保証されています。

では、このような資料を WebCT に掲載したい場合はどうなるのでしょうか。残念な事に、上記の例外規定は「授業時間中」に使う場合のことであり、予習や復習のためには適用できないと言われています。また、授業時間中であったとしても、サーバに複製をおいてアクセスさせる事は「公衆送信した」とみなされるため著作者の公衆送信権を侵害していることになってしまいます。

第三者が作成した資料を WebCT に掲載(一般的なWebでの公開や講演会での使用もほぼ同様です)するためには、どこに注意をすれば良いのかを参考までにまとめてみました。

  1. 利用する資料が「著作物」にあたるかどうか。

    「著作物」でなければ、少なくとも著作権法的には問題なく使用できます。著作権法での定義をひもとくと「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」となります。これをみると著作物とはあくまで「表現したもの」であることがわかります。また、データや数式などあるがままのものは著作権法の保護の対象にはなりませんし、単純な折れ線グラフなど誰が書いても同じになるようなものも著作物とはみなされません。

  2. 利用する資料は自由に利用できるものか

    Webで公開されて「自由にコピーして下さい/二次利用してください」などと記してあるものは、もちろん問題なく使用できます。Creative CommonsGNU FDLのように、自由にコピーして使って良い事をあらかじめ規定してあるライセンスもよく使われています。また、Wikipediaに投稿された図版には、著作権を放棄したものもあり、これらは「パブリックドメインの状態にある」といいます。

    また、著作権法による保護には有効期限があります。これをすぎたものもパブリックドメインとなり自由に利用できるようになります。現在の著作権法では、作者の死後50年(法人著作の場合は公開後50年)までが保護期間となります。

  3. 引用にあたるか

    公表済みの著作物は、批評や研究のために「公正な慣行に合致する方法」をもって「正当な範囲内」で引用して利用する事ができます。この引用は権利者に無断で行う事ができます。このことは著作権法32条に掲げられていますが、「公正な慣行」や「正当な範囲」が何なのかは条文には書かれていません。一般には

    • 引用する必然性があること。
    • 質量ともに、主従関係が明確であること。もちろん引用部分が従ですね。
    • 引用部分の他の部分とはっきり区別できること。
    • 出所を明示する事

    などが必要とされています。ただしこれでもまだはっきりと決められないケースもありますので、引用にあたるかどうかは慎重に判断する必要があります。

上記 1. から 3. のいずれにも該当しない場合には、無断で WebCT に掲 載することはできません。多くの場合授業の中での利用は可能ですので、 授業中に利用した資料を WebCT にアップロードしようとした時点で問題 が発生することになります。これを法律的に正しく利用するには、元資料 の著作権保持者(著作権者)の許諾が必要になります。

著作権者に利用許諾を依頼する際には、利用の形態(履修者の各々が ID とパスワードで認証を受けなければ見られない、など)や条件(何人が閲 覧し、公開はいつまで、など)をはっきりさせると良いでしょう。

また、転載した資料がどこから入手されたものかはっきりしないと、こ のような手続きをするときに手間がかかります。ちょっとしたものでも、 転載資料の出所をきちんと記録することを心がけておきましょう。

コンテンツ作成支援室では著作権処理の支援業務も行っております。 こちらに関しては、「著作権処理支援」のページをご参照ください。

参考文献